何とビックリ「ノープラン旅行」!!
先日お泊りになった、オーストリアからのお客さん「クリストフ兄弟」のお話の続編です。
宿泊初日は近くのスーパーでお弁当を購入し、お部屋でのんびりしていたお二人。
翌朝、兄がロビーでタブレットを見ていたので、質問をしてみました。
- 日本に何日くらいいるの?
(現在何日目?) - どこに行く予定?
もちろん英語でペラペラ話せるはずもなく、手を広げてゼスチャーをしながら、
梅ちゃん(以下梅:):
「ハウ・ロング・ステイ?ジャパン」
クリストフ(以下ク:):
「ワンマンス(一か月)」
さらに、
ク:「ペラペーラ、ナリタペラ
ペーラペラペラ、オオサカペラ」
どうやら、成田に到着して、一か月後に大阪から日本を発つらしい。
梅:「日本に来て何日目?どこに行ったの?」
当然筆談で(笑)
ク:「ペラペーラ、ナリタ、スリーデイズ、
ペラリ、トキョー、スリーデイズ、
ペーラ、ヌマヅ、スリーデイズ、
ゴテンバ、ペラペラナウ。」
梅:「フエア、イズ、ネクストプレイス?」
御殿場の隣を指さして、次の目的地を聞くと、
ク:「ノープラン」
笑顔で答えるクリストフでした(笑)
だって!
沼津から御殿場まで、距離にする20キロぐらいでしょうか?
3日間沼津をエンジョイした彼らは、御殿場にある梅の屋旅館まで徒歩で移動してきたそうです。
オーストリアでは、ハイキング・トレッキングを楽しむ人が多いらしく、徒歩での移動は苦にしないそうです。
ク:「マウントフジ、クライム、OK?」
富士山に登りたいそうですが、まだしっかり雪が残ってます。
梅:「メニースノウ、トゥークール、ベリーデンジャー」
頷くクリストフ。
理解してもらえた模様。
大雨が降っていた2日目、彼らはほとんどの時間をロビーで過ごしました。
3日目に富士山の湧き水を汲みに行く
相変わらずロビーでのんびり過ごすクリストフ。
川の中の鮎が自分のテリトリーを守るかのように、同じ場所に座りタブレットをいじり、かっぱえびせんなんかをツマミに、昼から日本酒をかっ喰らう。
梅:「何かすること無いの?」
ク:「この時間が楽しい」
そんなやり取りを交わしふと思う。
だったら無理やり御殿場を味わってもらいましょう(笑)
紙に色々書き込む梅ちゃん。
さすがに言葉がわからないので、
google君の翻訳のお世話になりました。
- 富士山に積もった雪が解け地面に浸み込む
- 岩や砂・腐葉土の中を通過し濾過される
- 20年後に湧水(spring water)として湧き出る
紙を見て分かっていただけましたか?(笑)
梅:Let’s go! This place with me.by car
合っているか間違っているかはともかく、力強く頷くクリストフ。
続いて一言、
ク:「ペラペラ、マニー、ユー」
梅:「ノーマネー。
イッツ・マイジョブ!
アンド
ウィー・アー・フレンド!!」
金なんていらねーぜ。
水を汲みに行くのは仕事だし!
それに、俺ら友達じゃん!!
そんな意味を込め、100万ドルのスマイルを浮かべながら親指を立てる梅ちゃんに、1000万ドルのスマイルで答えるクリストフ(笑)
どうやら通じたようです。
そんなこんなで富士山の湧き水のポイントに到着。
このやり取りで2人は完全に打ち解けました。
うまい日本酒と馬刺しを希望される!
宿に戻るとおもむろに財布を取り出し、梅ちゃんに語りかけるクリストフ。
聞き取れたキーワードは、
「サケ・ユー・セレクト」
梅ちゃんコンピュータが回転を始め、
『何か美味い酒を選んで買ってきてくれ!』
と勝手に解釈(笑)
梅:「チョイス・ミー?」
ク:「イエス。ハウマッチ?」
梅:「2000エーン。」
千円札を2枚取り出すクリストフ。
ここで梅ちゃん更にひらめく。
梅:「ドゥーユーノウ?
フェイマスフード、イン・ディス・シティー」
ク:「NO」
梅:「イット、イズ、フレッシュホース(馬刺し)」
ク:「フレッシュホース?」
梅:「イエース、ホースサシミ!」
ク:「アンビリーバボーー!!!!」
梅:「トライ、イッツ?」
ク:「イエース、」
さらに1000円受け取り、夜9時に旅館ロビーに集合という約束を交わし、預かった3000円を手に近所のスーパーに向かいました。
預かった3000円は、
静岡の酒(吟醸のフルーティー)=1600円
+
スパークリング日本酒=550円
+
馬刺しモモ肉=800円
になりました。
商売人失格と言われるかもしれませんが、友人からボッタくるのも嫌なのでここは原価で(笑)
御殿場で馬刺しを買うならこちら2店舗が超オススメ
そして、約束の21時がやってきて…
馬刺しがロビーに登場!!
食品衛生上難しい事は書けませんが(笑)、彼らにとって初めての経験を、こんな田舎の小さな旅館で提供できた事は、サービス業を営んでいる者にとって、この上ない幸せと言えます。
「マスターベーション」と言われても構いません!
さらに梅ちゃんチョイスの日本酒も。
ちなみにクリストフの弟さんは、オーストリアの三ツ星ホテル調理人…
しかも、肉担当のシェフをしているらしく、ナマ肉を見た瞬間に、
「こっちが馬で、こっちが…」
とわかったそうです。
『アンビリーバボー』
と
『ベリーエキサイティング』
を連呼しながらSAKEをかっ喰らい、ものの10分ほどでケモノ肉を平らげた二人。
つたないコミュニケーションも、酒が入ると楽しくなるのは万国共通です。
エロい話なんかも含めて(笑)、2時間くらい語り合っちゃいました。
日本に来ての出来事編
弟さんは日本のアニメが大好きとの事。
秋葉原にてメイド喫茶に行った時の話ですが、
「ビール一杯3000円」
にぶっ飛んだ。
日本のホテルの対応は非常にドライで、時間になった瞬間、
「チェックアウトプリーズ」
通勤ラッシュの混雑に驚いた。
さらに、電車に乗って会社に向かうスーツの人々の目が、「死んだ魚」のようで切なくなった…
梅ちゃんの解釈があっているかどうかは分かりませんが、
日本人は勤勉で優秀であるが、もう少し人生をエンジョイした方がいいんじゃないの?
そんな感じの事を話していたような気がします。
そして、
「お前のようなイカれた野郎は大好きだぜ!!」
そんなニュアンスの事を、“間違いなく”言ってました(笑)
さらに、
「シラフの時はイマイチだったけど、酔っ払ってからのコミュニケーション力は素晴らしい!」
おいおい、それは褒め言葉か?
まぁ、そんなクレージーなクソ若旦那は、この際開き直って、『上品。品格』なんていう言葉からは程遠い、
「面白い若旦那」
として、御殿場の旅館業界に、燦然と君臨しようかな(笑)
…なんて少し思っている次第でございます。
もちろん礼儀とか、サービス業に携わる人間として必要なものは忘れませんけどね。。
普段と違う環境で、普段と違うお客様に接した事で、少しだけ芽生えた心境です(笑)
そんな異文化交流を満喫した3日間でしたが、翌日にはついにお別れを迎える事になってしまいました。
彼らの翌日の宿は『富士吉田』。
無責任にバス停に放り出すのも何なので、須走の立山の登山道の入り口まで車で送ることを約束し、彼らを客室に送り届けるのでした。