クリストフ兄弟、梅の屋を旅立つ
長きにわたった、海外からのお客様、
『クリストフ兄弟編』
いよいよ完結となります。
3泊4日の梅の屋の滞在では、ほとんどの時間をロビーでタブレットを触りながら、日本酒をかっ喰らって過ごした彼ら。
のんびりした時間を過ごせたんじゃないかな?と思います。
その中でも、
- 富士山の湧き水を汲みに行ったり、
- 御殿場名産の馬刺しを食べたり、
- 梅ちゃんセレクトの日本酒を紹介したり、
- 近所の天然記念物『駒門風穴』を案内したり、
- 徒歩5分のスーパーであれこれ買い物をしたり、
有名な場所やら高いお店には行かなかったようですが、
日本の普通の生活を味わっていただけたかな?
お金をかけずに、日本的雰囲気を感じていただけるように、こちらも務めていたわけですが、宿を発つ時の彼らの顔は、とて晴れやかだったように思います。
その日は多少曇っていたものの、別れを惜しむかのように富士山も顔を出してくれました。
雨の日もあったので、毎日ではありませんでしたが、晴れた日は屋上に上がり、富士山と戯れていたそうなので、出発時も見送ってくれたんだと思います。
須走に向かう前に寄り道
彼らの行先は富士吉田。
御殿場駅からのバスを案内したのですが、
「富士山周辺を散策しながら富士吉田に向かう」
との事だったので、須走の登山道の入り口まで車で送っていく事にしました。
須走からひと山越えると山中湖に着き、そこからさらに徒歩で富士吉田に向かうとの事。
タフ過ぎるぜ!!
オーストリアの人にとって、そういった散策はごく当たり前との事ですが、近所のコンビニまで車を使う梅ちゃんにしてみると、到底理解しがたい事でした。
須走の登山道まで送り届ける事は、別れ間際の最後の優しさでございます(笑)
そんな道中ですが、普通に大きな国道246号を使っても面白くないので、微妙に裏道を使いながら走っていると、車の窓を震わせる
「ドーーン」
という御殿場に住む人がよく聞く音。
ふと閃いた梅ちゃん。
「20分くらい時間はある?」
と問いかけ、返事が返ってくる前に勝手に方向転換(笑)
東富士演習場では、自衛隊による訓練が行われてました。
草むらに車を停車させ徒歩で案内。
指の先には90式戦車&装甲車。
その瞬間、赤い旗が掲げられていた戦車が一発ぶっ放し、飛び上るほど驚く二人。
椅子に座り双眼鏡で先を眺め、紙に記入している少し上級っぽい自衛官の方がいます。
梅ちゃんの勝手な想像ですが、
(訓練の精度を上官が見ているのでは…)
と思いました。
写真をバンバン撮れるような雰囲気ではなかったので、そそくさと退散しましたが、クリストフ兄弟はかなりエキサイトしてました。
車に戻り演習場を撮影。
梅ちゃんの寄り道作戦、二人に喜んでいただけたようです。
旅の安全祈願、冨士浅間神社でお参り
「ここまで来たらとことんやれ」
そんなモードに突入しちゃいました(笑)
赤信号で停車中に携帯を取り出し、翻訳ソフトで調べた言葉、
Shrine=神社
「旅の安全をここで祈願するんだぜ!」
的な言葉を話し、携帯を見せ、
「レッツゴー・ウィズミー」
相手の返事は聞きません、勝手に連れて行くだけです(笑)
到着したのは、
さらに奥へ進むと、
手水で身を清めます。
彼らに使い方をレクチャーします。
-
右手で柄杓を持ち、左手を清める。
-
左手で柄杓を持ち、右手を清める。
-
左手のひらに水を注ぎ口を漱ぎ、 左手を洗い流す。
梅ちゃんが注意書きの通りに行い、それを彼らが真似ます。
今後日本の神社に行った時は、
『日本通を気取った外人さん』として、
日本人と同じくらいに、さり気なく、身を清めてほしいです(笑)
本堂に到着。
もちろんここでも、
『二礼、二拍、一礼』
を教えます。
残りの約2週間、
彼らの日本の旅行が、
安全で思い出深いものに
なりますように…
そんな事を願い、神社を後にします。
神社の説明書きがありました。
富士山を上から見た図があったので、
自分が今いる場所と、どういうルートを通ってどこへ向かうのか、
指で示して説明します。
いよいよお別れの時が
なんだかんだと4日間の珍道中(⁉)も、フィナーレを迎える事になりました。
彼らと別れる場所は、立山に向かう登山道の入り口。
山道を約2キロほど登り、山頂から山中湖方面に下り、そこから富士吉田へと向かう長いルート。
ここから約2キロの道のりが始まります。
愛しさと切なさと心強さ(by篠原涼子)の思いが溢れます。
青く澄んだ瞳でこちらを見据え、口角がすっと上がり
「Thank you」
と手を差し出すクリストフ。
固く握手を交わします。
アイ・ホープ
トゥー・ビー・グッドトラベル
イン・ジャパン
ユアーズ
文法なんかクソ喰らえで、ゼスチャーを交えゆっくり話し、今度はハイタッチ。
彼らの背中が見えなくなるまで、見送る梅ちゃんでした。
車を走らせると、梅の屋周辺では完全に散った桜が、標高の高い須走では満開でした。
彼らは日本旅行をエンジョイし、今頃オーストリアで元気にやってることでしょう。
お客様からも色々な思い出や、たくさんいただきました。
英語力はまったく上達してませんが(笑)、コミュニケーション力だけは上がったかな?