1、ありえない!!庭先で鹿一頭さばく羽目に…
皆さん、鹿をさばいた事ありますか?
この質問に「Yes」と答える人が日本中に何人いるでしょうか(笑)
そんな非日常な出来事が、先日起こりました。
回顧録としてブログにしましたので、仲間とのおバカなやり取りを含めて
『こいつらバカだなー』
って読んでいただければ幸いです。
2、パパ友「滝口MKT」から素敵な贈り物
4月のある朝けたたましく鳴る梅ちゃんの携帯電話。
前日の酒が残り気だるい中着信を見ると、
「滝口MKT」
看板娘1の保育園時代からのパパ友からである。
※梅ちゃん:以下「梅」
「もしもし」
受話器を取りそっけなく出る。
※滝口MTK:以下「M」青文字
M:『梅ちゃん、今大丈夫っすか?』
MKTの声が普段よりも上ずり、興奮しているのが分かる。
並々ならぬ状況を感じた瞬間、電話の向こうから驚くべき言葉が発せられる。
M:『梅ちゃん、鹿あるんっすけど食べますか?』
一瞬の間を置きこう答える。
梅:「捌いたやつ?」
M:『今日捕れたてです。
職場の罠にかかったメスの小鹿です。』
梅:「マルのヤツ?」
M:『マルのヤツです!毛皮もついてます!!』
梅:「って事は俺がさばくの?」
M:『そういう事になりますねー
こちらとしてもどうにもならないので
処分業者の手配中なんスよ。
猶予はあと15分くらい。』
梅:「10分以内に返事するよ!!」
携帯電話の「お気に入り」に入っている、地元の友人『御殿場海賊団』に電話をする。
※御殿場海賊団:以下「海」赤文字
『はいよーー』
朝から元気な男である。
恐らく昨晩も深酒をしているはずなのに、それを感じさせないハイテンションな声で電話に出る御殿場の海賊。
梅:「あのさぁ、小鹿が取れたんだけど。
滝口MTKの職場で罠にかかったらしい。
マルのままで今から処分するんだけど、欲しい人がいたらくれるってさ。」
なるべく端的に用件を伝える。
海:『まず大事なのはいつ亡くなったか。
その時どうヤったか。
暴れて死んだ場合体に血が回って身が臭くなるんだよね。
新しいヤツだったら何とかするよ。』
こういう時の海賊は冷静である。
どんな情報が欲しいか、どうなったら望ましいのか、短い言葉で梅ちゃんに用件を話す。
滝口MTKに折り返す。
梅:「いつヤったか教えてくれ。処分方法も。」
M:『了解!』
時間に追われているので、欲しい情報だけ伝え、折り返しの電話を待つ。
数十秒後すぐに電話が鳴る。
M:『罠にかかって生きていた鹿を、猟師がうったのが8時。
大体2時間前っすかね。』
すかさず海賊に折り返し伝える。
海賊は一言、
海:『行ける!!』
同じくらい力強い声で
梅:「了解!!」
中学校時代から付き合いのある彼とは、この言葉のやり取りで十分だ。
すかさず滝口に折り返し、鹿の運搬を手配した。
この間まさに10分。
端的な言葉で相手に意思を伝え、短い相手の言葉を理解し事をなす。
「秒速で億を稼ぐ男」
とまではいかないが、互いの神経を張り巡らし3人の心が目的に向け心一つになり、事を成し遂げた瞬間であった。
~~~
手配が終えた事を海賊に伝える。
解体現場は、御殿場海賊団の庭に決定。
電話を切ろうとする梅ちゃんに、受話器の向こうからバカでかい海賊の声。
海:『カメラと三脚持ってる?』
梅:「何で?」
海:『動画を撮ってyou tubeにUPしようよ!!』
よっしゃー、燃えてきたぜ!!
カメラの準備をしている梅ちゃんを不思議そうな目で見る若女将。
内容を話すと、
「あんたさぁ、絶対にそういうの私に見せないでよ!!」
男のロマンがわからない妻の罵声を背中に受け、心躍らせ梅ちゃんは家を出発した。
3、そもそも何でこうなったの?の説明
パパ友「滝口MKT」。
彼は某メーカーに勤めているのだが、会社の広大な敷地内には、鹿が多数生息している。
突然飛び出してきた鹿が、従業員の車にぶつかったり、車内を出入りしている大型車両にひかれたり、そんな事態が時々発生するらしい。
それを未然に防ぐために、敷地内には鹿用の罠が仕掛けられ、捕えられた鹿は、近隣の猟友会の方によって天に召される。
冬のシーズン中には一頭のシカに対して、数名の猟師さんがやってきて『ドーン』とやり、そのまま猟師さんが持ち帰り処分してくれる。
しかし、その時は猟師さんが一人しかやって来ず、
『ドーン』とやった後に、「お疲れさーん」的な感じで帰ってしまったらしい(笑)
処分に困り業者を呼ぼうとしていた所で、梅ちゃんとその友人御殿場海賊団を思い出し、連絡してきたとの事。
彼と職場の方々にしてみれば、処分する対象でしかない先程まで生きていた毛皮の亡骸も、
『とりあえず梅ちゃんに電話をかければ何とかなるんじゃないの?』
みたいな、半分は「試している部分」と、
『何とかして自分も美味しい食材にあずかりたい』
そんな思いのもと電話をかけてきた滝口MKT。
電話の最初の興奮気味な声も、今考えると「滝口ワールド」に引き込むための、彼なりのお芝居だったのかもしれない(笑)
そんな彼の思惑にまんまと嵌り、
『動画撮ろうぜ!!』
なんて無邪気にはしゃぐ40オーバーのオヤジ2人。
ビデオカメラをセットした三脚を用意し、エプロンを腰に巻き、臨戦態勢の梅ちゃんを出迎えたのは、
猟友会の方が止めを刺す時に
脳天に打ち込んだ鉛玉に驚いてしまったのだろうか、
漫画のキャラの様にお目々が飛び出している
メスの小鹿ちゃんでした。
カメラを意識した海賊が、無言で頭部にビニール袋をかぶせ、こちらを向いて頷いた。
4、解体ショーいよいよ始まる
※グロイ表現があります、ご注意ください。
海:『じゃぁいくよー』
梅:「りょーかーい」
梅ちゃんがカメラを構えたのを確認し、海賊がよそ行きの声で開始を合図する。
若い衆を何人も使う現場の親方である彼の、こんなに可愛らしい声を聞いた事がない。
はっきり言って気持ちが悪い…
そんな彼が用意した調理器具は、
- ブルーシート2枚
- 出刃包丁
- のこぎり
- 100均で購入したピンクのナイフ
- バケツ
- 砥石
まさに男を感じさせる、大雑把でたくましい装備品である。
彼はお気に入りの100均ナイフを手に取り、一瞬の躊躇もなく腹の白い毛の部分に突き立てる。
パッと開いた切り口に対して、今度はナイフの刃先を上に向け、腹部から首に向け切り口を入れる。
大きく開いた切り口に手を入れ、体と毛皮を剥がすように手を進めると、いとも簡単に毛皮が剥け始めた。
腹部にさらに刃を立てる。
今度は内臓を取り出す番だ。
人差し指に沿えるようにナイフを持ち、海賊の肘の近くまで鹿の中に突っ込まれる。
まるで手が腹部に吸い込まれているようである。
それにしてもこんな作業を、悲鳴一つ上げず、淡々と行う御殿場海賊団。
「横隔膜を傷つけると、
一気に身が臭くなるんだよね。」
そんな解説を時々入れながら、肘まで血に染まっている。
※グロイので18歳未満禁止(笑)
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初夏を感じさせる陽気と、川の流れる音が、「獣(ケモノ)との格闘」というよりは、
人間が生存するために必要な
「食べる」
という行為を行うための自然な行動
日常の中で当たり前になって忘れていた
人間の本能を思い出させてもらっている
そんな素晴らしい場に立ち会っている自分が誇らしくもあり、共に同じ時間に立ち会っている友人に、感謝の気持ちを抱く。
中学時代からの友人である海賊団。
昔からスケールが大きい男だと思っていたが、今回のたくましい姿を見て、リスペクトの気持ちがより強まった。
川の水面で反射した日光が、彼の背後であたかも後光の様にキラキラ光る。
相変わらず
解説の声だけ
気持ちが悪い(笑)
いつの間にかすべての内臓が取り出され、
- レバー
- ハツ
- 腎臓
などの食べられ部分はボールに入れられ、それ以外の臓器はバケツに取り分けられていた。
5、さらにグロイ所が…
『タン(舌)もいってみようか?』
そんな話になる。
さすがの海賊も、過去にタンまで取り出した事はないらしい。
首のあたりで切断され無造作にバケツに放り込まれた頭。
梅:「これはさすがに自粛じゃない?」
海:『だよねー』
梅:「みのもんたばりに炎上しそうだね」
海:『ははは』
梅:「タン(舌)だけに『舌が滑った』みたいな(笑)」
後から動画を見て、「何だかうまいこと言ってる」的な、自分にイラッとしちゃった(笑)
6、最後の仕上げ
舌を取り出した後は、皮を剥ぎ、腹の中を水で洗う。
足を4本胴体から分け、背骨に沿って2本あるロースを取りだす。
アバラの部分を背骨から取り外し、脊髄(背骨)以外の部分は、すべて食料になる前提でビニールに取り分けられ、解体作業は終了となった。
海:『夜は鹿パーティーね』
海賊と数時間後に再び同じ場所で落ち合う約束を交わす。
梅:「いやー、ありがとう。
これでしばらくツマミに困らないよ。
足は2本ばかし
もらっても良い?」
遠慮がちに問いかける梅ちゃんに、
海:『足?全部持って行って』
当たり前のように答える海賊。
太っ腹な男である。
海:『あっ、それと、脇腹も全部いいや。』
何だか雲行きが怪しい。
海:『レバーとハツは、皮を剥いで切っといて。
夜焼く(本当?)から。』
さらにまくし立てる。
海:『とりあえず、ここには肉を置いてかないでね』
そんなに肉をもらっても消費しきれない。
夜の「鹿パーティー」に向けての仕込みや、自分用に保存する時間を考えると、キャパオーバー…というか、大変な作業になる事は間違いない。
梅:「海賊さぁ、自分の取り分はいらないの?」
自分の仕事を減らすために、海賊に問いかける梅ちゃん。
海:『普通のモモ肉とか今さらいらねーよ。
レバーとかハツとか、そんな所を少し食えばいいし。
っていうか、
俺はこれ以上
肉を触りたくねー!』
7、リスペクトは幻に(笑)
さっきまで晴れ渡っていた空に若干雲がかかっている。
彼の後ろに後光は見えない。やはり海賊は海賊であった。
数時間前まで命が宿っていたメスの小鹿は、どうしようもないダメ親父達に、
「あーだ・こーだ」
と解体され肉の塊に変貌した。
11時からスタートし、全て肉塊になったのが13時。
その塊はすべて梅ちゃんの愛車に積み込まれ、梅の屋旅館の厨房で、食べるために加工される事となる。
おそらく人生で、肉という物に最も長く向き合う一日になるだろう。
その後も続く長時間に若干ブルーになりながら、車のエンジンをかけた。
海:『お疲れさーん』
カメラが止まった今、よく聞いた事のある普段の海賊の声が響く。
梅:「ありがとね、いい経験になった。
っていうか、俺はここからが長げーーよ(笑)」
海:『ははは、頑張って。
…ていうか、
18時には
集合だからね!!』
梅:「了解!!」
中学時代から付き合いのある彼とは、こんな言葉のやりとりで十分である。
その瞬間、海賊の口角が「フッ」と上がった。
『してやったり』の顔だ!!
話の流れから完全に外堀を埋められ、全ての肉を担当する事になった梅ちゃん。
「鹿パーティー」の仕込みまでをさりげなく人に振った海賊。
やられたぜ!!(笑)
でも、「うん」って言っちゃったしorz。
家に帰ったのが13:30。
果たしてどうなるのでしょうか??
※2016.6.03.仕込み編UPしました。
※グロイので18歳未満禁止(笑)
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